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相続した土地が共有名義になっている場合の売却する際のポイントは?

共有名義の土地を相続してお困りではありませんか?

共有名義となっている土地の所有者が亡くなった際には、法定相続人が共有持分を引き継ぎます。他の共有者が持分を自動的にもらえるわけではありません。したがって、共有状態が継続してしまいます。

土地が共有されていると、売却には共有者全員の合意が不可欠です。共有者間の関係が希薄だと同意を取り付けるのが難しく、共有のまま放置されてしまう場合もあります。しかし、さらに相続が発生して関係者が増えると、問題解決がより困難となってしまうでしょう。共有は早めに解消するのが望ましいです。

本記事では、共有状態にある土地の相続に関して、知っておくべき基礎知識を解説しています。共有名義の土地を相続する方は、ぜひ最後までお読みください。

相続した土地を売却する際の流れ

相続した土地を売却する際の流れ

相続した土地を売却するまでは、一般的に以下の流れで進みます。

遺言書の有無を確認する

まずは、亡くなった方が遺言書を作成していたかを確認しましょう。

有効な遺言書があれば、基本的には遺言書通りに財産を引き継げます。共有名義の土地について、故人の持分を他の共有者に引き継がせる旨の遺言があれば、共有をめぐる問題が複雑化せずにすむでしょう。

遺言書は、公正証書遺言であれば公証役場の遺言検索システムで見つけられます。自筆証書遺言についても、近年始まった法務局での保管制度を利用している可能性があります。

これらで見つからないときには、自宅や金融機関の貸金庫などを探すほかありません。法務局以外で保管していた自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認手続きを忘れないようにしましょう。

遺言の有無によって、その後の流れが大きく変わります。必ず最初に確認してください。

【参考】遺言書の作成

相続人を確定する

遺産を引き継ぐ前提として、法定相続人を確定させる必要があります。故人が生まれてから亡くなるまでの戸籍を集めてください。

法律上相続権を有するのは、配偶者(妻や夫)と、以下のうち最も順位が高い親族です。

  1. 子(既に亡くなっていれば孫、ひ孫…)
  2. 両親(既に亡くなっていれば祖父母)
  3. 兄弟姉妹(既に亡くなっていれば甥・姪)

子がいれば「(配偶者+)子」、いなければ「(配偶者+)兄弟姉妹」が相続人となる場合が多いです。たとえ土地の共有者であっても、法定相続人でない限り相続権を有しません。

【参考】法定相続人・法定相続分とは

相続財産を調査する

相続財産の調査も進めなければなりません。

不動産(土地・建物)については、固定資産税納税通知書、権利証などから確認します。同一市町村内の不動産であれば、役場で名寄帳を請求すればまとめて把握が可能です。共有関係を知るためには、登記事項証明書を取得して確認しましょう。

不動産だけでなく、預金や株式など、他の財産も調査します。後からやり直しにならないよう、漏らさず調べてください。

【参考】相続財産・相続人調査パック

遺産分割協議を行う

相続人と相続財産が判明したら、分け方を決めるために遺産分割協議を行います。

分ける際のベースになるのは法定相続分ですが、合意できるのであれば異なる割合にしても構いません。共有状態になっている土地については、別の共有者が相続人であれば、その人に共有持分をまとめることにより今後のトラブルを防止できます。

遺産の分け方が決まったら、遺産分割協議書を作成して全員分の署名・捺印をします。相続人全員が参加して合意できなければ、遺産分割協議は成立しません。自分達で決められないときは、調停など裁判所での争いになります。

【参考】遺産分割協議

相続登記をする

遺産分割協議書を作成したら、不動産については相続登記を行わなければなりません。必要書類を揃えて、法務局で申請しましょう。

2024年4月から相続登記が義務化されています。必ず登記を行ってください。

【参考】相続登記義務化のポイント

売却に向けた手続きを進める

相続登記を終えて土地の所有者が決まったら、売却に向けた手続きをします。通常の土地売買と同様に、査定・媒介契約・条件決定・売買契約・引渡しなどを進めてください。

土地が共有状態にある場合、土地全体を売却するには共有者全員の同意が必要です。詳しくは後述します。

【参考】実家を売却して遺産分割する場合のポイント

共有とはどのような状態?

土地の共有

相続財産に含まれている土地が、共有状態にある場合があります。共有とは、ひとつの不動産を複数人で所有している状態です。

共有状態が生じる例としては、以下が挙げられます。

  • 複数人で不動産を購入した
  • 相続が発生し、相続人が法定相続分にしたがって取得した

共有不動産に対しては、各共有者が共有持分を有しています。共有持分は「Aさん:1/2、Bさん:1/4、Cさん:1/4」などと表されます。

共有であっても土地全体を使用できますが、売却には全員の同意が必要になるなど、多くの制限が生じます。共有者同士の関係が円満であれば問題は表面化しませんが、相続によって共有持分が分散すると、トラブルのリスクが高いです。さらに相続が発生すれば、関係者は増加します。できるだけ早めに共有状態を解消するのが望ましいです。

既に共有状態にある土地について、共有者のひとりが亡くなった際には、以下のパターンが想定されます。

  1. 他の共有者が相続人であった
  2. 他の共有者は相続人ではなかった

①の場合には、遺産分割協議によって、共有者である相続人に持分を集中させるのがよいでしょう。持分が相続人全員に分散すると、トラブルのもとです。

②の場合には、共有者は相続権を有さない以上、いったん相続人に持分が帰属する形になります。その後、共有状態をどうするかを検討する必要があります。

【参考】相続不動産を分けずに共有にするリスク

共有状態でできること・できないこと

できることとできないこと

共有状態にある不動産に対して持分権利者ができること・できないことの例としては、以下が挙げられます。

単独でできること

  • 不動産の利用
  • 修繕
  • 不法占拠者の排除
  • 持分権の譲渡

持分の過半数の同意でできること

  • 短期間の貸し出し
  • 土地の改良

全員の同意がないとできないこと

  • 売却
  • 抵当権の設定
  • 農地の宅地への変更

土地を売却する際のポイント

土地を売却する際のポイント

土地が共有状態にあると必要な合意がとれない事態が想定されるため、解消するのが望ましいです。共有を解消するには、主に以下の方法があります。

全員で売却する

共有者全員が合意できれば、土地を売却できます。反対する人がいない場合には有効な方法です。

ただし、土地を手放したくないなどの理由で反対する共有者がいればできません。

【参考】親の土地に自宅を建てた場合の遺産分割トラブル

 

他の共有者に持分を買い取ってもらう

共有持分を他の共有者に買い取ってもらい、ひとりに権利を集中させて共有を解消する方法もあります。共有状態にある土地を相続したものの使う予定がなく、他の共有者が利用する意向であるときには有効な方法です。

贈与と判断されて課税されるのを防ぐため、相場とかけ離れた金額にならないよう、注意してください。

現物分割する

共有している土地を持分にしたがって分割する方法もあります。分割後の土地はそれぞれの単独所有となり、共有は解消されます。単独所有になった後は、自分の判断で売却も可能です。

しかし、土地の形状によっては公平に分けるのが難しかったり、分けると利用しづらくなったりするケースも多いです。現実問題として、簡単には分割できません。

自分の持分を第三者に売却する

自分の共有持分だけであれば、第三者に自由に売却できます。土地の共有状態は継続しますが、自分は抜け出すことが可能です。

しかし、制限が多い共有持分の買い手を探すのは難しく、いたとしても価格は安くなってしまいます。勝手に持分を売却すれば、他の共有者とトラブルになるおそれもあるでしょう。

以上の通り、相続した土地が共有名義であると、売却が難しいなど様々な問題が生じます。お困りの方は、弁護士法人山本総合法律事務所までご相談ください。

当事務所は、群馬県内でも規模の大きな弁護士事務所のひとつです。群馬・高崎に密着して、相続に関する数多くの相談を受けて参りました。共有状態にある土地の相続についても、豊富な解決実績がございます。関係者との交渉や裁判所での手続きなど、ご自身では大変なこともお任せいただけます。

共有名義の土地の相続に直面した方は、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

代表弁護士 山本哲也

弁護士法人山本総合法律事務所

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