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一人に財産を相続させたい!遺言書作成のポイントは?

一人に財産を相続させたい! 遺言書作成のポイントは?

誰か一人に相続をさせることはできる?

相続の疑問

原則として、相続人には法定相続分がありますから、何もしないでいては誰か一人に相続させることはできません。

 

相続人のうちの誰か一人にだけ相続させたい場合は、その人に「相続させる」旨の遺言書を作成しなければなりません。これを作成すれば、誰か一人に財産を相続させることができます。最高裁判所の判例でも「相続させる」旨の遺言は遺産分割方法の指定であるとされており、遺産分割の手続を経ることなく、遺言の効力発生時に財産が相続により承継されます。遺産分割が不要なので簡便かつ迅速に相続させられますから、相続人のうちの誰か一人に相続させるためには「相続させる」旨の遺言書を作成する方法が便利です。

【参考】相続人の一人にすべての財産を相続させるという遺言書が…他の相続人は財産をもらえない?

家族以外に相続をさせたい場合の遺贈

家族以外に相続をさせたい場合の遺贈

家族(相続人)以外の人に財産を渡したい場合、「相続させる」旨の遺言書は作成できません。家族(相続人)以外の人は相続人ではなくそもそも相続できませんから、「相続させる」という文言にそぐわないためです。

 

そこで、家族以外の人に財産を承継させたい場合には「遺贈する」という文言で遺言書を作成します。「遺贈」とは、遺言書によって財産を家族以外の受遺者に承継させることです。遺贈の受遺者としてよく挙がるのは、内縁の妻や夫、いとこ、子の配偶者などです。

 

遺贈には「遺産の半分を遺贈する」のように割合を指定する包括遺贈と、「〇県〇市〇丁目〇番地の土地を遺贈する」のように遺贈する財産を具体的に指定する特定遺贈の2パターンがあります。それぞれメリット・デメリットがありますので、ケースバイケースで事案に則した遺言書を作成する必要があります。また、遺贈はあくまで「贈与」の一種であるため無償であるのが原則ですが、何らかの負担を課す負担付遺贈とすることも可能です。例えば、土地を遺贈する代わりにその土地の管理義務を課すといった方法です。

【参考】内縁の妻がいた場合や離婚調停中の相続はどうなるのでしょうか?

ほかの相続人は遺留分請求ができます

遺留分請求

適切に遺言書を作成すれば、誰か一人に財産を相続又は遺贈させることができます。

もっとも、他の相続人の生活や遺産に対する期待を保護するため、遺言書により財産を得られなくなった相続人は「遺留分」を保有することになります(民法1042条1項)。

 

遺留分は、遺言書を作成した被相続人に配偶者と子がいる場合には「配偶者」と「子」、被相続人に配偶者だけで子どもがいない場合には「配偶者」と「直系尊属(両親、祖父母など)」、被相続人に配偶者も子どもいない場合には「直系尊属(両親、祖父母など)」が有することになります。

遺留分が認められるためには前提として相続人の地位にある必要があるので、廃除されていたり欠格事由があったりすると遺留分は認められません。

 

遺留分を有する相続人は、遺留分侵害額請求を行い、遺留分相当の金銭の支払を受けることができます。

遺留分侵害額請求を行うか否かは遺留分を有する相続人が任意に判断できますので、遺留分侵害額請求権を行使しなければ遺言書どおりに財産を承継されることになります。

なお、遺留分は民法における強行法規として定められる権利ですので、遺言書で遺留分そのものを消滅させることはできません。

【参考】遺留分と遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)について

遺言書に効果がなかった場合は

遺言書作成後に財産が変動する、相続人や受遺者が死亡するといった事情があると、遺言書は効果がなくなります。

最高裁判所の判例(最高裁平成23年2月22日判決)では、「相続させる」旨の遺言で承継させると指定した相続人が被相続人より先に死亡した場合には遺言書の当該部分は効果が生じないとされていますから、代襲相続も発生しません。

 

遺言書に効果が無くなった場合、遺言書を作成し直すことになります。

遺言書の作り直しは新しい遺言書を作成することでいつでも可能ですし、遺言書の効果も新しい遺言書の内容が優先されます。

どの遺言書が最新のものなのか明確になるよう、古い遺言は撤回する旨を明記しておくとよいでしょう。公証役場で公正証書遺言を作成する方法も、無用な紛争を防ぐために有効です。

【参考】公正証書遺言作成のポイント|遺言があってももめるケース

遺言書の作成は弁護士にご相談ください

遺言書は、遺産を誰にどれだけ承継させるのかを決める非常に重要なものです。

記載が適切でないと、希望どおりの相続や遺贈を実現できなくなるおそれがあります。

記載内容が曖昧であるがために相続人間のトラブルに発展するかもしれません。

そのため、遺言書の作成には専門知識が求められますし、誰か一人に相続又は遺贈させる遺言書の作成のためには専門家である弁護士のサポートが不可欠です。

 

弁護士に相談すれば、相続人や受遺者との関係性や遺産の性質を加味しつつ、被相続人の希望を実現させるためのオーダーメイドの遺言書を作成できます。

当事務所には遺言書作成の数多くの実績があり、たしかな経験とノウハウを持つ専門の弁護士がご相談をお受けします。まずはお気軽にお問合せください。

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この記事を書いた人

代表弁護士 山本哲也

弁護士法人山本総合法律事務所

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