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会社を継いだ親族が遺産分割に応じません

「会社を継いだ親族が遺産分割に応じてくれない」とお悩みでしょうか?

会社経営者が亡くなって相続が発生した場合、トラブルが発生しやすいです。後継者になる相続人が遺産分割に応じてくれず、他の相続人が財産を受け取れないケースがしばしばあります。そもそも遺産の内容すら開示してくれないケースも少なくありません。

本記事では、会社の後継者となった相続人が遺産分割に応じないケースについて解説しています。経営者の相続でお困りの方は、ぜひ最後までお読みください。

 

会社の相続でよくあること

会社の相続でよくあること

会社経営者が亡くなって相続が発生した際には、後継者が遺産分割に応じない、財産を開示しないといったトラブルが発生しやすいです。会社相続でよくあるトラブルや対処法を見ていきましょう。

 

遺産分割に応じない

まずは、遺産分割に応じてもらえない場合があります。

遺産分割協議が必要になる典型的なケースは以下の通りです。

  • 遺言書がない
  • 遺言書に一部の財産しか記載されていない
  • 遺言書で割合だけが指定されている

遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。上記のケースで話し合いに応じてくれない相続人がいれば、分け方を決められずに時間が経過してしまいます。

会社相続においては、後継者が遺産分割協議に応じてくれないケースがたびたび見られます。

会社経営者の場合、遺産の大半を会社株式や事業用財産が占めているケースが多いです。これらは会社経営を引き継ぐためには不可欠であり、他の相続人に与えるわけにはいきません。かといって他に財産がなければ、後継者以外の相続人に代わりとなるお金などを渡すのも難しいです。遺産分割協議の中で法定相続分通りに財産を分けるように求められると、後継者は困ってしまいます。そこで、そもそも協議に応じない姿勢を示すのです。

とはいえ、遺産分割協議をしないと以下のリスクがあります。

  • 相続税の申告期限を過ぎ、ペナルティが発生する
  • 遺産を使い込まれる
  • 遺産を活用できない
  • 二次相続が発生し関係者が増える

まずはリスクを説明して、協議に応じてもらうのが重要です。説得に応じないときには、弁護士への依頼や裁判所での調停など、より強力な手段を検討しましょう。

【参考】相続税がかかる財産とは?遺産分割時の注意点

財産を開示しない

会社の後継者が遺産内容を開示してくれないケースもよくあります。

財産を開示してくれない理由としては、財産隠しや使い込みをしていて、他の相続人に知られたくない可能性も考えられます。残念ながら、強制的には開示させられません。放置していると不利益が生じるため、開示するよう説得するとともに、可能な限り自力で調べるようにしましょう。

不動産は、権利証や固定資産税納税通知書などを自宅や貸金庫から探して確認します。同一市区町村内の物件は、役所で名寄帳を取り寄せれば一気に判明します。居住地や事業を営んでいた市区町村などに請求しましょう。そのうえで法務局において登記事項証明書を取得すれば、権利関係が判明します。

預貯金は、通帳・キャッシュカードや郵便物を探す、自宅近くの金融機関に照会するなどして突き止めます。口座が判明したら、取引明細を取得しましょう。取引明細から保険や証券など他の財産が判明するケースもあります。不審な出金がないかにも注意してください。

上場株式については、取引していた証券会社に問い合わせましょう。証券会社がわからないときは、証券保管振替機構を通じて確認します。

負債のチェックも忘れてはなりません。取引先の金融機関に確認してください。信用情報機関への照会も行いましょう。

遺産分割をする前提として、財産調査は不可欠です。詳しいはずの相続人が開示してくれないときは、自分で調査しなければなりません。自力で進めるのが難しければ、専門家への依頼も検討しましょう。

【参考】相続財産調査の方法

 

財産が判明したらできること

財産が判明したらできること

調査して財産が判明したら、遺産分割協議を行います。生前贈与や遺言により遺留分が侵害されているときは、遺留分侵害額請求も検討しましょう。

 

遺産分割協議を行う

遺産分割協議では、遺産をどう分けるかについて具体的に話し合います。法定相続分がベースにはなりますが、合意できれば別の割合でも構いません。

会社経営者の相続では、後継者が会社株式や事業用財産を取得する代わりに、他の相続人に金銭を渡せればスムーズです。代償金は、後継者の手元にお金がなければ、不動産の売却や金融機関からの借り入れなどにより調達してもらわなければなりません。分割払いでも構いませんが、担保をつけるなどして確実に支払ってもらえるようにしましょう。

株式や事業用財産の比重が大きく代償金の支払いもできないケースでは、後継者と他の相続人との調整が困難です。遺産分割協議は、相続人全員が合意しなければ成立しません。当事者で決められないときは、裁判所での調停・審判により解決するのが一般的です。そもそも後継者が協議に応じない、あるいはテーブルについても話が進まないときは、調停の申立てもご検討ください。

【参考】遺産分割協議

 

遺留分を請求する

生前贈与や遺言により、遺産の大半が後継者に渡っているケースもあります。その場合、他の相続人は遺留分侵害額請求が可能です。

遺留分とは、相続人に認められる最低限の遺産の取り分です。法律上、兄弟姉妹以外の法定相続人は遺留分を有しています。

遺留分割合は、相続人のパターン別に以下の通りです。

法定相続人 遺留分割合
配偶者のみ 配偶者:1/2
配偶者+子 配偶者:1/4、子:1/4(※)
子のみ 子:1/2(※)
配偶者+親(直系尊属) 配偶者:1/3、親:1/6(※)
親(直系尊属)のみ 親:1/3(※)
配偶者+兄弟姉妹 配偶者:1/2、兄弟姉妹:なし
兄弟姉妹のみ 兄弟姉妹:なし

※同一順位の相続人(子や両親)が複数いるときは人数に応じて均等に割る(例:相続人が子2人のみのときは1/4ずつ)

 

生前贈与や遺言により遺留分を侵害されていたときは、「遺留分侵害額請求」ができます。最低限の遺産を受け取るために、後継者への請求をご検討ください。

【参考】遺留分

 

当事務所での遺産分割・遺留分のサポートについて

ここまで、会社を継いだ相続人が遺産分割協議に応じない場合の対応について解説してきました。

他の相続人に財産を渡したくないために、後継者が遺産分割協議に応じなかったり、財産を開示してくれなかったりするケースがあります。相続人である以上、後継者ではないとしても、遺産に対する権利を有しています。後継者を説得しても応じてくれないときは、自力で財産調査をし、裁判所に調停を申し立てることが可能です。生前贈与や遺言によって遺産の大半が後継者に渡っていたときは、遺留分の請求ができます。

もっとも、財産調査や法的手続きをご自身で進めるのは難しく、時間をとられるだけでなく大きなストレスにもなるでしょう。ぜひ弁護士にご依頼ください。

 

会社経営者が亡くなった際の相続トラブルは、弁護士法人山本総合法律事務所までご相談ください。

当事務所は、群馬県内でも規模の大きな弁護士事務所のひとつです。地元群馬に密着して、相続に関する数多くの相談を受けて参りました。会社経営者のように財産が多く複雑なケースでもチーム体制でサポートいたします。相手方との交渉はもちろん、裁判所での調停・審判もお任せください。弁護士に依頼すれば金銭的に有利な結果に導きやすくなるだけでなく、皆様の時間的・精神的負担も軽減できます。

また、会社経営者の関わる相続では、弁護士だけでなく他の専門家の関与も不可欠です。当事務所では、同じビル内に税理士・司法書士がいらっしゃり協力体制をとっているため、相続に関してワンストップで対応できます。わざわざ他の専門家を探す必要はございません。

些細なことでも構いませんので、相続に関する悩みや不安について、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

代表弁護士 山本哲也

弁護士法人山本総合法律事務所

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