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相続を弁護士に相談するタイミング
- 執筆者弁護士 山本哲也
「遺産相続について弁護士からアドバイスを受けたい場合、いつのタイミングで相談すれば良いのだろう?」
といった疑問を持つ方が少なくありません。
結論的に、相続はなるべく早めのタイミングで相談するのが得策です。早ければ早いほど、多くの選択肢があって有効な対応をしやすくなるためです。
この記事では相続を弁護士へ相談するタイミングについて、弁護士がお伝えします。
遺言や相続について弁護士への相談をしようと考えている方は是非参考にしてみてください。
目次
弁護士に相談するタイミング
遺産相続について相談する場合、生前に遺言や財産管理などについて相談するケースと、死後に遺産分割や相続放棄などについて相談するケースの2パターンがあります。
弁護士に相談すべきタイミングについて、生前と死後にわけてみていきましょう。
生前に相談する場合
まずは生前に遺言や財産管理について相談する場合について、タイミングをご紹介します。
1.遺言書を作成したいとき
遺言書を作成したいときには、弁護士に相談しましょう。遺言書の内容を決めていない状態でも弁護士への相談は可能です。
弁護士に相談すれば、どのような遺言書が適切かアドバイスを受けられますし、公正証書遺言の作成についてのサポートなども受けられます。
【関連リンク】遺言書の作成
2.認知症が心配になったとき
認知症が心配になったときにも弁護士へ相談しましょう。認知症になってしまってからでは遺言も任意後見も民事信託も利用できなくなってしまいます。
元気なうちに相談することにより、有効な対策が可能です。
将来、認知症になったときの財産管理や相続対策が心配になったら、その時点で一度弁護士のアドバイスを受けておくようおすすめします。
3.将来の相続に備えたいとき
将来、子どもたちが相続争いを繰り広げるのを避けたい場合や配偶者、子どもたちなどの相続人に負担をかけたくない場合など、将来の相続に備えたい場合にも弁護士へ相談しましょう。
状況に応じたアドバイスを受けられますし、具体的に遺言や民事信託などについてのサポートも受けられます。
4.民事信託(家族信託)を利用したいとき
民事信託(家族信託)を利用すると、さまざまな相続対策が可能となります。遺言ではできないことも実現できるので、遺言と民事信託を併用することにより有効な相続対策をできるケースも多々あります。
ただ民事信託は複雑な契約なので、専門知識がないと対応が難しくなるでしょう。弁護士に相談すれば適切なスキームを組んで有効な相続対策ができます。民事信託を利用したい場合にも弁護士へ相談しましょう。
5.生前贈与したいとき
相続対策として生前贈与も有効です。生前に財産を移転しておけば、希望する相手に確実に遺産を遺せるメリットがありますし、節税対策につながるケースも少なくありません。
ただし生前贈与する際には、贈与税が発生する可能性もありますし、証拠を残しておく必要もあります。生前贈与する場合にも弁護士へ相談しておくと良いでしょう。
【関連リンク】暦年贈与が廃止される?相続対策が変わる!
生前に弁護士に相談するメリット
生前に弁護士に相談しておくと、以下のようなメリットがあります。
- 遺言や民事信託など、有効な相続対策についてアドバイスを受けられる
- 遺言執行者になってもらえる
- 遺言や民事信託など、死後にはできない相続対策をとれる
- 成年後見制度や民事信託などを利用して、適切に財産管理ができる
相続発生後に相談する場合
次似、相続発生後に相談する場合のタイミングをみてみましょう。
相続発生後は、基本的にすぐに弁護士へ相談するようおすすめします。
相談しておくと、他の相続人とのトラブルも避けやすく財産調査なども依頼できて相続手続きをスムーズに進められるからです。
相続発生後に弁護士に相談するメリット
相続発生後に弁護士に相談すると、以下のようなメリットがあります。
1.相続手続きの流れがわかってスムーズに手続きを進められる
遺産相続が発生すると、相続人の方は非常に多くの作業に対応しなければなりません。
相続人調査、遺産の調査、遺産分割協議、各種財産の名義変更など、やらなければならないことが目白押しです。
弁護士に相談すると、概ねの流れがわかるので自分でもスムーズに手続きを進められます。
【関連リンク】相続の手続きの流れと期限・スムーズに進める方法を弁護士が解説
2.面倒な相続手続きを一任して、楽に相続手続きを進められる
相続手続きには時間と手間がかかるものが多数あります。多くの手続きが必要なので、膨大な作業負担に圧迫されてしまう相続人の方も多いでしょう。
弁護士に相談すると、面倒な作業を一任できて楽に相続手続きを終えられるメリットがあります。
3.他の相続人ともめていても代理人として交渉してもらえる
遺産相続の手続きでは、他の相続人ともめてしまうケースも少なくありません。
自分たちだけで対応していると、感情的な対立もあって状況がどんどん悪化してしまいがちです。
弁護士に依頼すると他の相続人ともめていても代理人として交渉してもらえるので、自分で相手と直接話す必要がありません。法律の専門家が間に入ることで、スムーズに案件解決に結びつきやすくなるメリットがあります。
【関連リンク】遺産分割を弁護士に依頼するメリット
相続発生後、すぐに相談した方が良いタイミングの例
以下のような場合、すぐにでも弁護士に相談するようおすすめします。
- 遺産内容を開示してくれない、遺産が使い込まれている可能性があるなど、他の相続人に不信感をもったとき
- 他の相続人が提示した遺産分割の方法に納得できないとき
- 他の相続人と連絡を取りにくい、無視されるなど、遺産分割協議を進められないとき
- 他の相続人の連絡先が不明、または連絡を取りたくない場合
- 被相続人から生前に聞いていた遺産の額と、実際に遺産として遺された財産額が異なるとき
- 遺言書の内容に納得できないとき、遺言書が無効だと思われるとき
- 遺留分侵害額を請求したいとき、遺留分侵害額を請求されたとき
- 相続放棄や限定承認したいとき、特に相続開始後3か月以上が経過してしまったとき
上記のような場合、他の相続人などに対して弁護士を通じたアクションが必要です。放置しておくと状況が不利になる可能性が高いので、早めに相談しましょう。
【関連リンク】遺産相続を弁護士に相談すべき11の状況
相続問題は弁護士へ相談すべき理由
遺産相続に対応している専門家としては、弁護士以外に司法書士や行政書士、税理士などもあります。どの専門家に相談すれば良いのかわからない方もいるでしょう。
迷ったときには弁護士へ相談するようおすすめします。弁護士であれば相続に必要なたいていの問題に対応できるからです。
弁護士なら、あらゆる相続トラブルに対応できる
弁護士の一番の特徴は、トラブル解決ができることです。たとえば遺産分割協議でもめてしまったときや相手と連絡を取りにくいとき、弁護士以外の専門家に代理を依頼することはできません。
弁護士であれば、相続人調査、遺産調査から遺産分割協議のサポート、遺産分割協議書の作成、調停や審判への対応、名義変更や遺留分侵害額請求など、ほとんどどういった問題にも対応可能です。
【関連リンク】相続問題を弁護士に依頼すべき理由
司法書士の場合
司法書士は登記の専門家です。遺産の中に不動産が含まれている場合には登記名義の変更が必要なので、司法書士に依頼するケースが多いでしょう。
しかし司法書士は遺産分割協議などの代理人はできませんし、遺留分侵害額請求の代理人や調停、訴訟の代理人もできません(ただし140万円以下の場合、代理をつとめられる可能性があります)。遺産の使い込み問題にも対応できません。
行政書士の場合
行政書士は行政文書の代書を専門とする士業です。遺産分割協議書の作成はサポートできますが、遺産分割協議の調整などはできません。遺留分侵害額請求や相続放棄などのサポートもできません。
不動産登記もできないので、行政書士に依頼すべきケースは限定されているといえるでしょう。
税理士の場合
税理士は税務の専門家です。相続税や贈与税関係のアドバイスや申告には対応していますが、遺産分割協議の調整や遺留分侵害額請求、相続放棄などの相続手続きには関与しません。
相続税が発生しない事案では、税理士に相談すべき機会はほとんどないでしょう。
最初から弁護士に相談しておけば安心
以上のように、各士業の中でも相続に関してもっとも広く取り扱えるのは弁護士です。はじめから弁護士に相談しておけば、遺産分割を進めるうちにトラブルが起きてもすぐに対応してもらえます。
相続に関するアドバイスやサポートが必要な場合、早めに弁護士へ相談しましょう。
【関連リンク】相続問題を弁護士に依頼すべき理由
相続を相談する弁護士の選び方
相続を相談する場合、どのような弁護士でも良いわけではありません。
弁護士にも多数の専門分野があり、相続に力を入れている弁護士とそうでない弁護士があるからです。
相談するなら、遺産相続に積極的で頼りになる弁護士を選びましょう。以下のような視点をもって弁護士を選ぶと、良い弁護士を選びやすくなります。
1.相続に関する実績が高い
まずはこれまでの相続に関する実績に着目しましょう。多数の案件を解決してきた弁護士であれば、知識・経験・ノウハウを蓄積しているので有益なサポートしてくれることが期待できます。
HPなどにこれまでの実績件数や具体的な解決事例などが掲載されていれば、参照しましょう。
2.情報発信に力を入れている
次にネット上での情報発信に力を入れているか確認しましょう。
相続に熱心な弁護士は、HPや自社運営サイトを通じて相続に関する情報発信に熱心に取り組んでいるケースが多数だからです。参考になりそうな情報をたくさん投稿している弁護士を選ぶと失敗しにくいでしょう。
3.相談したとき頼りになると感じる
弁護士を選ぶときには、実績やネットの情報だけでは判断材料として不十分です。必ず実際に面談をして、人となりや雰囲気、相性などを確認しましょう。
特に以下のような点に着目すべきです。
- 依頼者の話にしっかり耳を傾けられるか
- 話しやすい雰囲気を持っているか
- アドバイスの内容が的確か、納得できるか
- 説明がわかりやすいか
上記のような視点から「信頼できる」と感じられる弁護士へ依頼すると良いでしょう。
【関連リンク】相続を相談・依頼する弁護士の選び方
群馬の遺産相続は山本総合法律事務所へご相談ください
群馬県高崎市の山本総合法律事務所は2007年に創業し、現在弁護士が8名在籍する事務所です。群馬県では比較的大規模な事務所であり、相続案件には複数の弁護士がチームを組んで対応します。
「親族の幸せを実現する」のが事務所としてのモットーであり、遺産分割や遺留分侵害額請求などの繊細な問題でもなるべく人間関係を壊さないようにきめ細かくサポートさせていただきます。同じビル内の司法書士や税理士などとも連携しており、登記や税務の関係でもワンストップで対応が可能です。
「幸せな相続」を実現するために弁護士が一丸となって親身にサポートしますので、お気軽にご相談ください。ご相談は無料で対応しておりますので、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。