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相続財産・相続人調査パック
- 執筆者弁護士 山本哲也
目次
相続手続の全体像
被相続人が死亡すると相続が開始し、被相続人の相続財産(遺産)を相続人が相続します。
各相続人がどれだけの財産を相続するのかは、相続人の数、相続財産の内容や遺言の有無といった事情により決まります。
そのため、下記の流れで相続の手続(=遺産分割)を進めるケースが多いです。
①相続人の範囲の調査
まずは、誰が相続人なのか調査します。
通常は戸籍等で確認できますが、養子縁組や婚姻の無効を主張する場合には、遺産分割に進む前に別途の裁判や調停で養子縁組や婚姻等の身分行為の有効性を確定させる必要が生じます。
戦災や保管期間経過等を理由に戸籍が消失している場合は、管轄の役所から戸籍謄本を交付できない旨の「告知書」を発行してもらうことになります。
【参考】相続人調査や戸籍の収集方法
②相続財産(遺産)の調査
遺産分割にあたっては、相続財産(=遺産=被相続人が死亡時点で所有している財産)がどれだけあるのか調査する必要があります。
ある相続財産が真に被相続人の所有する財産なのか、そうではなく他人の所有する財産なのかが問題になるケースもあります。この場合は、遺産分割の前に、別途の裁判や調停で所有者を確定させ相続財産の範囲を明確にしなければなりません。
また、金銭債権は特別な取扱いが為されるため注意が必要です。
③遺言の有無・効力
遺言がある場合は、原則として遺言の内容に従って遺産分割がなされます。
そのため、遺言の有無の確認は重要です。もっとも、遺言が有ったとしても相続人全員の同意があれば遺言の内容と異なる内容で遺産分割できます。
④相続財産(遺産)の価格評価
相続財産に不動産や非上場株式が含まれる場合は、それらの評価額を確定しなければなりません。
⑤寄与分や特別受益の有無
寄与分(=相続財産の維持・形成への貢献)や特別受益(=相続財産の前渡し)がある場合は、相続分が修正されます。
【参考】寄与分とは
⑥遺産分割協議
各相続人がどの財産を取得するのか、一部の相続人が現物を取得し他の相続人に対し金銭を支払うのか、相続財産を売却し売買代金を分割するのか等、具体的な分割方法を相続人間で協議します。
【参考】遺産分割協議
⑦遺産分割調停、審判、訴訟
協議が整わない場合は、裁判所へ遺産分割調停を申し立てます。
調停も成立しない場合は審判が開始されます。
なお、遺産や相続人の範囲に争いがある場合、遺言や遺産分割協議の有効性を争う場合は訴訟を提起することになります。
【参考】遺産分割調停・審判
相続人調査の必要性
前述の相続手続の流れのとおり、相続人の調査は遺産分割を進めるための前提として必須です。逆にいえば、相続人が確定できないと適切な遺産分割ができません。
相続人の一部が欠けた状態で為された遺産分割協議は無効となってしまいます。相続人の知らないところで養子縁組がされているかもしれませんし、異母兄弟・異父兄弟がいるかもしれません。
被相続人が生前に認知した子がいるケースもあります。また、本来は相続人であっても遺言書を偽造した等の理由により相続欠格事由に該当し相続人ではなくなる者がいるかもしれません。
このように、誰が相続人なのか一見しては分からないケースも多いです。
適法な遺産分割を行う前提として、相続人の正確な調査は必須です。
相続人調査を弁護士に依頼すべき理由
相続人調査は、まず、被相続人の出生~死亡までの戸籍謄本を取得します。
過去の戸籍謄本まで遡り、出生~死亡までの一連の身分関係を正確に読み取る必要があります。
被相続人が自分の兄弟姉妹である場合は、その両親の出生~死亡までの戸籍謄本を取得します。戦災や津波等により消失していたり保存期間経過による廃棄により戸籍を取得できない場合は、自治体から戸籍謄本を交付できない旨の「告知書」を交付してもらうことになります。
戸籍附票や除籍謄本を取得するケースもあります。
このように、相続人調査に当たっては必要書類の選別・取得と取得した資料の正確な読み取りといった高度な専門的知識と多大な労力が求められます。
専門家である弁護士に依頼すれば、正確に相続人調査を進められます。また、弁護士は職権で戸籍等を取り寄せられるので、スピーディに相続人調査を進められます。
なお、相続人調査を尽くしても相続人を確定できない場合は、家庭裁判所へ「不在者財産管理人」の選任を申したて上で調停等を進めることになります。弁護士であれば裁判所における手続も受任できますので、相続に関する業務をワンストップで対応可能です。
【参考】相続を弁護士に相談するタイミング
相続財産調査の必要性
相続人調査と同じく、相続財産の調査も遺産分割を進めるために必須です。相続財産が確定しなければ、どの財産につきいくらで遺産分割すればよいのか明確にできないため、遺産分割を進められません。
相続人調査と相続財産調査は、どちらも遺産分割を進めるための土台を固める作業として必須です。
相続財産調査を弁護士に依頼すべき理由
相続財産の種類によって法律上の取扱いが変わることがあります。
例えば、貸金等の金銭債権は、遺産分割により分割される他の相続財産と異なり、被相続人の死亡と同時に法定相続分で当然に分割されるものとして扱われるのが原則です。
また、被相続人の死亡後に被相続人の銀行口座から引き出された現金が遺産分割の対象として相続財産に含まれるのか、株式・投資信託・国債といった金融資産を有している場合はそれらの調査の必要性も生じるため、相続財産調査を正確に行うためには専門知識が必要です。
さらに、ある相続財産の所有権等の権利義務関係に争いがあるか否かを判別するためにも専門的知識が求められます。
弁護士に依頼すれば、相続に関する専門的知識を活用して相続財産調査をスピーディに進められます。
当事務所の相続人調査・相続財産調査パックについて
当事務所では、遺産分割を進めるために必須である相続人調査と相続財産調査も承っております。
調停や訴訟を受任業務から外すことで費用を低額に抑えておりますので、お手軽に弁護士へ相続人調査や相続財産調査をご依頼いただけます。
費用は相続人調査:5万円(税込5万5000円)、相続人調査:5万円(税込5万5000円)です(※戸籍謄本の取得費用や郵送にかかる切手代等の実費は別途発生します)。
また、2つの調査をセットにした「相続調査パック」もご用意しております。「相続調査パック」の費用は10万円(税込11万円)です。
相続人間で揉めてしまい遺産分割事件や遺留分事件といった紛争に発展した場合は、上記の調査費用を着手金から減額しますので、相続人間で紛争に発展した場合へのセーフティーネットとしてもご活用いただけます。
まずは弁護士にご相談ください
相続人調査と相続財産の調査は遺産分割を進めるための前提として必須の作業ですが、調査のためには高度な専門的知識や多大な労力が求められます。
弁護士に相談すれば、相続人調査や相続財産調査を円滑かつスピーディに進めるための効果的なサポートを受けられるでしょう。
当事務所には数多くの相続問題の解決実績があり、たしかな経験とノウハウを持つ専門の弁護士がご相談をお受けします。まずはお気軽にお問合せください。