遺言でできる事とは

1.遺言でできることとは

遺言書

遺言でできる事項(遺言事項)は法律によって制限されています。

 これは、遺言が、遺言者の一方的な意思表示に過ぎないことから、遺言に書かれていることの全てについて法的な拘束力が生じるということになれば、相続人などへの影響は多大なものとなるためです。

 そのため、遺言書に書いたこと全てについて法律上の効力が生じるわけではありません。

 

遺言書に書いたことのうち、遺言事項に該当するものにのみ法律上の効力が認められるということになります。

 遺言によってできる事項については、大きく分けると、相続や財産処分に関する遺言事項、身分上の遺言事項、遺言執行に関する遺言事項などがあります。

 具体的には以下のとおりです。

  • 民法で定められた法定相続分と異なる相続割合を決める こと(民法902条1項)。 
  • 遺産分割の方法を決めること(民法908条)。
  • 特定の相続人を廃除すること(民法893条)。

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  • 定められた相続人以外の者に財産を遺贈すること(民法964条)。

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  • 遺言執行者の指定等をすること(民法1006条1項)。
  • 子供の認知をすること(民法781条2項)。
  • 後見人の指定をすること(民法839条1項)、などです。

 

遺言事項に該当しない事項を遺言書に記載したとしても、法律上の効力は認められません。しかし、法律上の効力が認められないというだけで、相続人らに対するメッセージとして遺言書に記載するのは自由ですし、そういったメッセージを受け取った相続人らが故人の遺志を尊重するという形で、遺言書の内容に沿って行動することもあるでしょう。

2.遺言を作ったほうが良い場合

手紙を読む女性

遺言を必ず書かないといけない、ということはありません。

しかし、遺言は書いておいた方がよいと言えます。

 

遺言のないときは、民法が相続人の相続分を定めていますので(民法900条)、原則として、これに従って遺産を分けることになります。

もっとも、被相続人とすれば、相続人の中には、あまり財産を与えたくない人もいれば、より多くの財産を分け与えたい人もいるでしょう。

 

遺言がない場合には、そんな被相続人の意思は反映されることなく、原則として法定相続分通りに遺産は分配されることになります。

 

また、被相続人が法定相続人以外の人に財産をあげたい場合があったとしても、それは遺言なしには実現しません。

例えば、内縁配偶者や友人は法定相続人ではないため、遺言がないと、遺産が分配されることは、原則としてありません。

内縁関係について詳しくはこちら

 

また、遺言がないために、相続を巡り親族間で争いの起こることが少なくありません。

しかし、今まで仲の良かった者が、相続を巡って骨肉の争いを起こすことほど、悲しいことはありません。

 

このような悲劇を防止するため、遺言により、遺言者が、自分の遺した財産の帰属を決めることができます。

なお、以下のような場合は、特に遺言をする必要性が高いといえます。

  • 夫婦の間に子供がいない場合
  • 再婚をし、先妻の子と後妻がいる場合
  • 子の配偶者(例えば、長男の妻)に財産を分けたい場合
  • 内縁配偶者の場合
  • 相続人が全くいない場合
  • 各相続人に承継させたい財産を指定したい場合

3.遺言の種類

封筒と鍵

遺言の方式としては、普通方式(民法967条~975条)と特別方式(民法976条~984条)があり、通常は普通方式によることになります。

普通方式の遺言の種類には、①自筆証書遺言(民法968条)、②公正証書遺言(民法969条)、③秘密証書遺言(民法970条)があります。

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  • 自筆証書遺言では、遺言者がその全文を手書き(自筆)する必要がありました(民法968条1項)。しかし、2019年の法改正により、財産目録などの項目はパソコンでも作成できるようになるなどの規制緩和がなされました。

法改正についてはこちら

  • 公正証書遺言では、公証人が遺言者の口述を筆記するため、遺言者の自筆は必要ありません(民法969条3号)。
  • 秘密証書遺言では、遺言者の自筆である必要はありませんが、遺言者は、自己の遺言書であることや、筆者の氏名及び住所を、公証人1人と証人2人以上に申述する必要があります(民法970条1項3号)

 

秘密証書遺言は、自書である必要がないため、代筆、タイプライター、などによる作成でも有効となり得ます。

 

特別方式遺言は、一般危急時遺言(民法976条)・一般隔絶地遺言(民法977条)・船舶隔絶地遺言(民法978条)・難船危急時遺言(民法979条)の4種があります。

殆どの場合、普通方式遺言で手続をします。

特別方式については、予備知識程度としておくことで全く問題はないと思います。

4.遺言にまつわる相続トラブルは専門家に相談を

弁護士バッジ

遺言は遺産相続の際に揉めやすいポイントの1つです。そもそも遺言を作成するメリットがわからない方や遺言の作成の仕方がわからない方も多いかと思います。また、自筆証書遺言を作成していたが、要件を満たしておらず無効になる可能性や、法務局で保管してもらえるシステムを知らずに遺言が発見されない、という恐ろしいケースも考えられます。遺産にまつわる相続トラブルを発生させたくない、遺産について自分の意思を反映させたい、などのご希望がある方はなるべく早期に弁護士などの専門家に相談されることをおすすめします。

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